イル・プルー(6) ― 2010/12/24 10:40
イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ主催
「嘘と迷信のないフランス菓子教室・入門速成科」(全20回)
「嘘と迷信のないフランス菓子教室・入門速成科」(全20回)
第6回は「シャルロット オー フレーズ」
いちごのムースのケーキ
これはとてつもなく美味しい、感動する味わいのケーキである。
これまで食したムース、ババロア類のケーキの中では最高といっていいであろう。
これまで食したムース、ババロア類のケーキの中では最高といっていいであろう。
華やかで甘酸っぱいいちごの風味が最大限に生かされる工夫が施されている。
それはこのケーキの三層構造にあると推察する。
お手本のシャルロット オー フレーズ
三層とは次の三つ。
1.ビスキュイ・ア・ラ・キュイエール=たまごを別立てしたスポンジ生地。
水溶化した卵白を使い、硬く泡立てることによって、
さっくりとした歯ごたえを味わえる。シロップを多量にうってもグチャッとならない。
2.生地に打つ2種類のポンシュ(シロップ)。
サイドの生地には洋梨のリキュールの効いたポンシュ、
底生地、中生地、トップの生地(これをシャポーと呼ぶ)には
ポンシュ・ア・ラ・フレーズ(いちごのシロップ)を使う。
いちごのジュースとリキュールをふんだんに使うので、
香りと酸味がより引き立つのである。
3.ムース・フレーズ(イチゴのムース)
主役のムースにもいちごのリキュールを使う。
酸味を補うためにレモンピューレも入れる。
水溶化した卵白を使い、硬く泡立てることによって、
さっくりとした歯ごたえを味わえる。シロップを多量にうってもグチャッとならない。
2.生地に打つ2種類のポンシュ(シロップ)。
サイドの生地には洋梨のリキュールの効いたポンシュ、
底生地、中生地、トップの生地(これをシャポーと呼ぶ)には
ポンシュ・ア・ラ・フレーズ(いちごのシロップ)を使う。
いちごのジュースとリキュールをふんだんに使うので、
香りと酸味がより引き立つのである。
3.ムース・フレーズ(イチゴのムース)
主役のムースにもいちごのリキュールを使う。
酸味を補うためにレモンピューレも入れる。
ムースだけでもとてもおいしいのだが、この三つの層が重なりあったときに、
いちごの持つ風味と味わいが最高潮に達するのである。
まさに三位一体のケーキである。
自作のもの。良く見ると、一段目と二段目のムースの量が均等でなく、
お手本のもののように美しくない。また、トップのビスキュイの大きさが少し小さく、
大きさが揃っていない。均等に絞り出すのは難しい。
さて、このケーキは、バターを使っていないので、全体的にしつこくなく、
さっぱりした味わいであるのも特徴である。
ムースの舌触りはババロアと同じであるが、卵黄を使っていないので、
区別してムースと呼んでいるとのことである。
今回はフランス産の缶詰のいちごのピューレを使っているが、
日本の生のいちごでどこまでこの味に近づくことができるか試してみたい。
また今回は校長の弓田亨氏がデモンストレーションをされ、
間近に職人技を見ることができたが、その手慣れた動きにはさすがに圧倒された。
つい最近NHKでも放映された有名パティシエである杉野英美氏は、
ホイッパーでの混ぜ作業が終わると、ボールにコンコンとホイッパーを
たたきつけてていたが、弓田氏はそういったことは絶対にしない。
作業は美しく、優雅で上品なのである。
またお菓子づくりに対する愛情は格別で、
特にメレンゲの泡をつぶさないための数々の技法・法則を語らせたら、
世界一といえるであろう。
講義中や講義後の懇親の場で
自説を熱く強く主張されていたので、いくつか記しておく。
特にメレンゲの泡をつぶさないための数々の技法・法則を語らせたら、
世界一といえるであろう。
講義中や講義後の懇親の場で
自説を熱く強く主張されていたので、いくつか記しておく。
・日本のパティシエで科学的な見地に基づき、菓子を作っているのは私だけである。
・日本人は料理に砂糖を使ってこなかった。戦後、おせち料理などを高級料亭が
販売した際、日持ちさせるために砂糖を大量に使った。
よって、甘い味付けが高級なのだと日本人は勘違いするようになった。
必要以上に甘い伊達巻等は人間の食べるものではない。高級料亭の罪は深い。
・こうした甘い味付けをテレビ等で浸透させていった料理人も責任重大だ。
(実際は名指しで著名料理人を批判)
・昨今、砂糖・卵・乳製品・精製品・肉魚などを食べないスタイルがあるが、
栄養失調で苦しんでいる人を何人も知っている。
健康志向で病気になってはいけない。
等々…、あまりに強く確信的に、説教調に話すので、みな信者になるのであろう。
クリティカル・リーディングを心がけている私でさえ、頷ける部分が多くあった。
その思想は著書に多く書かれており、まずは以下の本を読み込むこととし、レシピを試し、順に広げていく予定である。
思想より何より料理はおいしいことであるというのが、私の考え方である。
『新版 ごはんとおかずのルネサンス【基本編】』 1,890円
イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ企画
思想より何より料理はおいしいことであるというのが、私の考え方である。
『新版 ごはんとおかずのルネサンス【基本編】』 1,890円
イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ企画
イル・プルー(5) ― 2010/12/09 10:58
第5回は「ビュッシュ・ショコラ」
いわゆるブッシュドノエルだが、
イル・プルー流はチョコレートをこれでもかと使う超濃厚バージョンだ。
イル・プルー流はチョコレートをこれでもかと使う超濃厚バージョンだ。
チョコレート、ココアは当然ながらペック社のものを使う。
ロールケーキの中と外側をコーティングするガナッシュにも
ペック社製のチョコレート(ガナッシュ・ゲアキル)を贅沢に使用する。
ペック社製のチョコレート(ガナッシュ・ゲアキル)を贅沢に使用する。
また、ロールケーキの生地となる、
「ビスキュイ・オ・ザマンドゥ・ショコラ」=ココアスポンジには両面に
濃厚なチョコレートシロップを打つ。
「ビスキュイ・オ・ザマンドゥ・ショコラ」=ココアスポンジには両面に
濃厚なチョコレートシロップを打つ。
洋酒は使わない。
18㎝のロールケーキ2本を作成。
1本はダイナミックな薪のイメージでクリームを細工、
もう1本はコポー(カンナで削ったようなチョコレートの木くず)でたっぷりと覆う。
「ムラング・シュイス」=スイスメレンゲをマシュルームのように絞り、
100度で90分焼く。ココアを振り、飾る。
このケーキにはやや深煎りのコーヒーをネルドリップで淹れるのが良く合いそうだ。
イル・プルー(4) ― 2010/11/19 11:32
イル・プルー(4)
第4回は盛り沢山、
「ガトーショコラ」&「ショソン・オ・ポンム」&「ラング・ドゥ・ブッフ」
ガトーショコラのポイントは何と言ってもフランス・ペック社の材料を使うこと、
これに尽きる。弓田氏もブログでその理由を述べている。
「ガトーショコラ」&「ショソン・オ・ポンム」&「ラング・ドゥ・ブッフ」
ガトーショコラのポイントは何と言ってもフランス・ペック社の材料を使うこと、
これに尽きる。弓田氏もブログでその理由を述べている。
「スーパーゲアキル」「ベネズエラ」といったチョコレートはもとより、
カカオバター、ココアといった材料も当然ペック社のものを使う。
口当たりはやや硬めの印象、ほんの少し、ふんわり感が欲しいところだが、
要はメレンゲの混ぜ加減にあり、その調整は難しそうである。
要はメレンゲの混ぜ加減にあり、その調整は難しそうである。
チョコレートの風味はビター目で、大人の味。
このケーキにはグラニュー糖が合計170gほど使われているが、甘味はそれほど強くない。
このケーキにはグラニュー糖が合計170gほど使われているが、甘味はそれほど強くない。
一週間ほど日持ちするので、常任メニューとして活躍させたいものである。
「ショソン・オ・ポンム」はアップルパイ。
リンゴをバニラ棒や白ワインとともにじっくり一時間煮てコンポート。
やわらかなやさしい味で、酸味も心地よい。
パイの成型はあいかわらず難しかった。イメージした形にならない。
「ラング・ドゥ・ブッフ」はtounge of beefでいわゆる牛タンのかたちをしたという意味の菓子。パイ生地をフランス産の赤砂糖・キャソナードをまぶして焼いたもの。
この日は実演のみだったが、パイ生地は成形時にどうしても余分が出てしまうので
その有効活用法として紹介されたのである。
この日は実演のみだったが、パイ生地は成形時にどうしても余分が出てしまうので
その有効活用法として紹介されたのである。
この教室は余った材料は持ち帰る、ボールを冷やしていた氷は水を切って
再利用するするなど、材料等を絶対に無駄にしないポリシーが貫かれており、
是非日常の中で身につけていかなければならないと自戒するのである。
再利用するするなど、材料等を絶対に無駄にしないポリシーが貫かれており、
是非日常の中で身につけていかなければならないと自戒するのである。
イル・プルー(3) ― 2010/11/11 12:52
パイ皮を作るのはたいへん難しい。
過程は至極簡単で、強力粉、薄力粉、バター、水、酢、塩をまぜ、
かたまりにしたものを薄くのし、折り重ねていくというだけだが、
定められた規格に成型していくのが技術的に難しい。
習得までにはかなりの練習と経験を要するであろう。
フィリングは白ワイン、キャトルエピス、ナツメグ、にんにく、エダムチーズ、
玉ねぎ、パセリ等が入って香り高くミートパイ全体としての上品さを
引き出している。
玉ねぎ、パセリ等が入って香り高くミートパイ全体としての上品さを
引き出している。
キャトルエピスは4種類のスパイスという意味で、クローブ、コショウ、
ジンジャー、シナモンが入っており、フランスでは定番のスパイスだそうだ。
ナツメグはホールのものをすりおろす。
こうした何種類ものスパイスが肉の臭みを抑えることだけではなく、
他の野菜と相俟って香り高い一品に仕上げる所以といえよう。
ジンジャー、シナモンが入っており、フランスでは定番のスパイスだそうだ。
ナツメグはホールのものをすりおろす。
こうした何種類ものスパイスが肉の臭みを抑えることだけではなく、
他の野菜と相俟って香り高い一品に仕上げる所以といえよう。
口どけ、香り、味わいともにこれまで食べたブリュレの中では最高であった。
作り方はそれほど複雑ではなく、材料へのこだわりを守れば、ストックメニューとして
採り入れるべき一品であろう。
作り方はそれほど複雑ではなく、材料へのこだわりを守れば、ストックメニューとして
採り入れるべき一品であろう。
イル・プルー(2) ― 2010/10/26 10:17
第2回「モンブラン」
ロールケーキが昨今流行しているが、イル・プルーの入門編では、
十数年前よりこの形式を採っているとのこと。
十数年前よりこの形式を採っているとのこと。
特長は以下。
・アーモンドパウダーを使ったスポンジ生地(ビスキュイ・オ・ザマンド)。
・度数の高いダークラム酒をスポンジ生地と栗のクリーム両方に使用。
従って、できあがりはかなりラム酒の効いたモンブランとなっている。
好みが分かれるところだが、お酒の飲めない女性が意外にリキュールが
強めのケーキを好むという事実もあるので、できるだけ効かした方が良いのかもしれない。
当然ながらラム酒のグレードも風味にかなりの影響を与えていると思われる。
ここが最大の考えどころで、
高級リキュールを使っているので、価格もそれなりに高めというスタイルにするのか、
やはりケーキは400円前後が妥当という線で食材を選んでいくのかが問われるのである。
実際、このロールケーキ方式を採用するかどうかも今後食材選考とあわせ、
試作して検討しなければならない。
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