文献調査(4) ― 2011/05/26 11:52
まずは、価格。専門書レベルのプライシングで相当高く感じる。
ざっと見ると、これは田口氏のポリシーであろうが、ほぼ全てがカラー印刷である。
見易く豪華ではあるが、せめて半分の72ページを4C(4色使い)として、
残りを1C(1色使い)とすれば、制作費も抑えられ、価格ももっと抑えられたであろう。
無理に4Cにする必要はないのである。
無論、欲しい人は価格がいくらであろうと絶対に買う、図書館には絶対に入る、
等の市場判断があるので、版元はこうした強気の価格を得てしてつけてしまいがちだ。
等の市場判断があるので、版元はこうした強気の価格を得てしてつけてしまいがちだ。
しかしながら前著は2,940円(税込)であったので、読者にとっては
なぜ同じ価格にならなかったのか疑問が残る。
恐らくNHK出版の強気な戦略がそこにはあり、推察すると、
私が持っている前著『珈琲大全』の奥付を見ると、
2009年2月に発行された第6刷のもので、初版は2003年11月なので、
ほぼ毎年増刷していることとなり、この手の本としては良く売れているといって
よいであろう。
私が持っている前著『珈琲大全』の奥付を見ると、
2009年2月に発行された第6刷のもので、初版は2003年11月なので、
ほぼ毎年増刷していることとなり、この手の本としては良く売れているといって
よいであろう。
そしてスペシャルティコーヒーの時代が到来し、日本のコーヒー業界を
商業的に、文化的に牽引してきた田口護氏が満を持して上梓するのだから、
また、堀口俊英氏の『珈琲の教科書』が何万部売れているのだから、
これは初版2万は固い、などというNHK編集担当者の試算があったのであろう。
商業的に、文化的に牽引してきた田口護氏が満を持して上梓するのだから、
また、堀口俊英氏の『珈琲の教科書』が何万部売れているのだから、
これは初版2万は固い、などというNHK編集担当者の試算があったのであろう。
私が編集者なら、カラーページを減らしてコストを減らし、価格を抑える。
前著と同じ2,940円とし、そのかわり、売上目標は3,780円で4万冊ではなく、
2,940円で5万冊とする。その方が読者には優しく、企業の利益確保も同じなのである。
前著と同じ2,940円とし、そのかわり、売上目標は3,780円で4万冊ではなく、
2,940円で5万冊とする。その方が読者には優しく、企業の利益確保も同じなのである。
さて、内容だが、目次を見てみると、
第1章 知識編
スペシャリティコーヒーの全て
1.スペシャルティコーヒーとは
2.スペシャルティコーヒーが市場に出るまで
3.スペシャルティコーヒーのおいしさとは
スペシャリティコーヒーの全て
1.スペシャルティコーヒーとは
2.スペシャルティコーヒーが市場に出るまで
3.スペシャルティコーヒーのおいしさとは
第2章 技術編
スペシャルティコーヒーの焙煎
1.システム珈琲学
2.スペシャルティコーヒーの4分類
3.4タイプ別焙煎
4.スペシャルティコーヒーの焙煎度
5.焙煎のストライクゾーン
6.スペシャルティコーヒーの特性を生かす焙煎
7.焙煎のケーススタディ
8.カップテスト
9.スペシャルティコーヒーの抽出
スペシャルティコーヒーの焙煎
1.システム珈琲学
2.スペシャルティコーヒーの4分類
3.4タイプ別焙煎
4.スペシャルティコーヒーの焙煎度
5.焙煎のストライクゾーン
6.スペシャルティコーヒーの特性を生かす焙煎
7.焙煎のケーススタディ
8.カップテスト
9.スペシャルティコーヒーの抽出
第3章 実践編
スペシャルティコーヒーの販売
1.スペシャルティコーヒーの仕入れ
2.販売方法と社員教育
スペシャルティコーヒーの販売
1.スペシャルティコーヒーの仕入れ
2.販売方法と社員教育
[対談]
スペシャルティコーヒーの未来を語る
SCAJの取り組み
スペシャルティコーヒーの未来を語る
SCAJの取り組み
このうち第2章の技術編に97ページが割かれ、全体の約60%を占めている。
焙煎を重要視しているのは前著と同様だが、この本では、カッピングについても
かなり詳しく書かれている。
なかでもSCAAが使用する「フレーバーホイール」について詳細な解説があり、
例えばBakersという香味表現があるのだが、
これについてきちんと「アメリカの有名な製菓用ダークチョコレートのブランド」
といった解説があり、チョコレートでもダークの味覚ということが理解できるのである。
例えばBakersという香味表現があるのだが、
これについてきちんと「アメリカの有名な製菓用ダークチョコレートのブランド」
といった解説があり、チョコレートでもダークの味覚ということが理解できるのである。
フレーバーホイールについてきちんとした解説がされたのはこれが初めてであろう。
自家焙煎店ならずとも、スペシャルティコーヒーを愛する全ての人にとって、必読の書といえよう。
桜井章一VS羽生善治 ― 2011/05/09 11:45
名人・羽生善治の調子が良くない。
先週行われた第三局も敗れ、これで三連敗と後がない。
確かに今期、挑戦者・森内俊之の指しまわしはすばらしい。
羽生の調子も悪いが、森内の調子は絶好調といえよう。
特に第三局の終盤、森内の▲73手目4六飛成。
これは受けの妙手で、かつての名人・丸山忠久が見せた激辛流を思い起こさせた。
この手を見て羽生は指す気を無くしてしまったのではなかろうか。
先週行われた第三局も敗れ、これで三連敗と後がない。
確かに今期、挑戦者・森内俊之の指しまわしはすばらしい。
羽生の調子も悪いが、森内の調子は絶好調といえよう。
特に第三局の終盤、森内の▲73手目4六飛成。
これは受けの妙手で、かつての名人・丸山忠久が見せた激辛流を思い起こさせた。
この手を見て羽生は指す気を無くしてしまったのではなかろうか。
さて、こうした状況で興味深い記事を発見した。
「近代麻雀 2011.6.1号」(竹書房)
桜井章一の連載エッセー、第273回。
桜井章一の名は麻雀好きなら一度は聞いたことがあろう、
「雀鬼」と呼ばれ、代打ちという裏稼業で引退するまで20年間無敗という
驚異的な伝説を持つ。著書も多数あり、麻雀界を超え、様々な分野で交流があるという。
その桜井章一を、羽生善治が名人戦第一局終了後に訪問したという記事だ。
対談は七時間に及んだというが、その内容は明かされていない。
無論、数ヶ月後には書籍化、DVD化されることにより、何が話されたか、つまびらかにされるのであろう。
「前から一度お目にかかりたくて」
「なら何で今頃来るのよ」
「四十歳になって、今日が何かの変わり目、きっかけだったんです」
もしかすると、羽生は第一局を先手で落とした後、名人失冠の何かを感じとったのでは
なかろうか。そして、機運を変えるべく、桜井章一に会いに行ったのではないか。
天才同士にしか感じ取れないオーラを求め、何かを掴みたかったのである。
「雀鬼」と呼ばれ、代打ちという裏稼業で引退するまで20年間無敗という
驚異的な伝説を持つ。著書も多数あり、麻雀界を超え、様々な分野で交流があるという。
その桜井章一を、羽生善治が名人戦第一局終了後に訪問したという記事だ。
対談は七時間に及んだというが、その内容は明かされていない。
無論、数ヶ月後には書籍化、DVD化されることにより、何が話されたか、つまびらかにされるのであろう。
「前から一度お目にかかりたくて」
「なら何で今頃来るのよ」
「四十歳になって、今日が何かの変わり目、きっかけだったんです」
もしかすると、羽生は第一局を先手で落とした後、名人失冠の何かを感じとったのでは
なかろうか。そして、機運を変えるべく、桜井章一に会いに行ったのではないか。
天才同士にしか感じ取れないオーラを求め、何かを掴みたかったのである。
これは私の推測に過ぎないが、
結局羽生はこの対談後の二局目、三局目を落としている。
しかし私はここからが羽生の本領発揮の魅せどころと捉えている。
結局羽生はこの対談後の二局目、三局目を落としている。
しかし私はここからが羽生の本領発揮の魅せどころと捉えている。
渡辺明が2009年に羽生に三連敗した後、四連勝して竜王位を防衛したように、
羽生は何かを見せくれるはずなのである。将棋ファンは羽生の底力を信じている。
そして名人防衛後に出版された桜井章一との対談本は飛ぶように売れ、
出版業界だけでなく、日本経済に活を与え、明るい未来をもたらすのである。
羽生は何かを見せくれるはずなのである。将棋ファンは羽生の底力を信じている。
そして名人防衛後に出版された桜井章一との対談本は飛ぶように売れ、
出版業界だけでなく、日本経済に活を与え、明るい未来をもたらすのである。
さて、羽生は近著でこんなことを述べている。
“「大局観」は多くの経験から培われるもので、
自分以外の人間の過去のケースをたくさん見ることでも磨かれていく。
いわば、「大局観」には、
その人の本質的な性格や考え方がとても反映されやすいのである。 ”
『大局観ー自分と闘って負けない心』(角川書店)
名人戦・第四局が待ち遠しい。
自分以外の人間の過去のケースをたくさん見ることでも磨かれていく。
いわば、「大局観」には、
その人の本質的な性格や考え方がとても反映されやすいのである。 ”
『大局観ー自分と闘って負けない心』(角川書店)
名人戦・第四局が待ち遠しい。
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