フィールドワーク(41)2011/10/10 22:38

先週、SCAJのさなか、LED JAPAN 2011にも出かけた。
専門的要素が強く、店舗照明でどんなLEDを選ぶべきかという
私のようなエンドユーザー要望にはほど遠い、
技術者の集まる展示会というテイストであった。

とはいえ、アイリス・オーヤマや三菱をはじめ、多くのカタログを収集できたのは
収穫であった。

帰途、ラーメンを食べたくなり、新横浜ラーメン博物館に寄る。

目新しさはなかったが、ミニサイズの麺を各店が用意してあるのがうれしく、
三店を訪れる。

ラーメン博物館1

ラーメン博物館2

ラーメン博物館3

一勝一敗一引分け。

ラーメン博物館は、昭和レトロを楽しむ街並みであるが、
ある表札に私は目をとめた。

寺山修一



寺山修一とあるが、ある文人を意識しているのであろう、
この表札を見た途端、私の脳裏を横切ったのは、
歌人・福島泰樹氏の絶叫短歌である。

あれは、何年前か、寺山の没後何周年かを記念して
吉祥寺・曼荼羅で開かれた、氏のコンサートであった。

“吸ひさしの煙草で北を指すときの北暗ければ望郷ならず” by 寺山修司

ラップ調に“吸ひさしの”の部分を絶叫リフレインするところに
思わず鳥肌が立ったのを覚えている。

“大工町寺町米町仏町老母買う町あらずばつばめよ”

“牛乳の空瓶舐めている猫とひとりのわれと何奪りあわん”

“マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや”

“ふるさとの訛りなくせし友といてモカ珈琲はかくまでにがし ”

“麻薬中毒重婚浮浪不法所持サイコロ賭博われのブルース”

といった数々の名歌が絶叫される、
その一コマ一コマを、何故か私は思い出したのである。

そして締めくくりである、福島氏の寺山賛歌が鮮やかに甦る。


“あおぞらにトレンチコート羽撃けよ寺山修司さびしきかもめ”
 by 福島泰樹



フィールドワーク(40)2011/10/03 22:24

SCAJ2011へ。
昨年に比べると全体的にやや地味な印象か。

今回の私のテーマは、エスプレッソマシーンの比較検討である。

自分の店での提供は、コーノ式のペーパードリップを基本とし、
コーノ式サイフォン、コーノ式ネルドリップ他多様なスタイルでの抽出も考えているが、
エスプレッソにはあまり力を入れない方針である。

従ってエスプレッソ・マシーンは、最小規模の1グループ(一連)仕様で充分と
考えている。
今回、初めて見て、比較検討の対象となったマシーンもあった。

私が考えているのは次の3機種。

★VIVIEM

VIVIEM

 
DOMOBAR SUPER DOUBLE
  今回、初めて見るマシーン。装飾性を排したスッキリとしたデザイン、
  価格(実勢)も40万円と手ごろ。

★LA SPAZIALE
 ・S1 Mini Vivaldi
  実物の展示がなく、操作性がわからなかったが、デザインは悪くない。
  実勢価格50万円程度。

★Dalla Corte
 ・Mini
  ダラコルテの最小サイズで、実勢価格50万円。ダラコルテブランドと思うと、
  価格はそれほど高くないのであろうが、見た目はVIVIEM社の方が良いと感じた。
  

このほか、SIMONELLI社の65万円のものや、定番のチンバリーもあるが、
50万以内の予算とするとデザイン面で上記3機種には及ばない。

マルゾッコ社は1連で150万円以上するので、最初から想定外。

エスプレッソを導入すると専用のグラインダーも必要で、その価格は20-30万程度、
他にもタンパーやらミルクピッチャーやら必須付属品も多々あり、こだわり度に応じて
価格も上昇していく。これから操作性も踏まえ、決定していかねばならない。

今年はWSC(ワールド・サイフォニスト・チャンピオンシップ)がSCAJの場で開催され、
世界6ヶ国から代表者が集まり、競技が行われた。

WSC出場者


WSCでのサイフォン抽出は、ろか器に湯が上がってから、粉を投入する方法もあり、国により、手法が異なるのだと関心を持つ。

撹拌のしかたも其々で、湯が上がった後は、2-3回、軽くなじませるだけで、
抽出液を落とす直前に、しっかりと混ぜる方法や、湯が上がった後に何回も撹拌する方法等、色々な手法が披露され、勉強になった。

優勝は日本代表の木次日向子(きつぎひなこ)氏。
世界チャンピオンとなった木次氏の競技内容を記しておく。

ルールはブレンドコーヒー1 杯とシグネチャービバレッジを1 杯、審査員4名各々に
提供すること。
(シグネチャービバレッジは、コーヒーベースでありアルコールの使用をしていないものに限ること。) 全部で、8 杯のドリンクを15 分の競技時間内に提供することである。

木次氏のブレンドとシグネチャービバレッジは次の通り。

ブレンド:
パナマ・エスメラルダ農園・ゲイシャ種&ボリビア・カフェ・ジャカランダ
オレンジやレモンの爽やかな柑橘系が特徴。

シグネチャービバレッジ:
ブラジル、ルワンダ、マンデリン・ブルーバタックの深煎りを使って抽出、アイスコーヒーをつくる。それと焙じ茶をシェイクし、ミルク、黒糖、和三糖と合わせる。

パナマ・エスメルダ農園のゲイシャをブレンドに用いるとは何とも贅沢な話だが、エスメラルダ農園といえば、今年の小川珈琲のブースでは、エアロプレスでデモ抽出しており、試飲してみたが、ワイニーでマスカテル、焙煎度合いも適切だったのであろう、非常に上品な味わいであった。

木次氏のエスメラルダのブレンドだけでなく、焙じ茶のシグネチャービバレッジを
飲んでみたいと思った観戦者は私だけではなかろう。


木次氏のサイフォン抽出の手法にも触れておく。

・粉はあらかじめろか器フィルターにセット
・湯が上がり切る前に、2-3回粉をなじませる。その後の撹拌は6-8回。
・浸漬時間は30秒
・火を落とし、抽出液が落ちる直前、または同時のタイミングで
 5-6回、撹拌する。

JSC及びWSCでは、細かく審査ポイントが定められており、競技者に緊張が強いられるのも無理はない。こうしたプレッシャーをはねのけ、見事世界チャンピオンとなった木次氏には称賛の意を表したい。



フィールドワーク(39)2011/09/13 12:06


KAFFEE SEEBACH(カフェ ゼーバッハ)。
世田谷区弦巻4丁目にあり、最寄駅は桜新町。

ベッカライブロートハイムというベーカリーに併設されたカフェで、
この一角だけを切り取るとあたかもドイツに来たかのような雰囲気である。

カフェ・ゼーバッハ

店内撮影禁止のため、写真はないが、パンはもとより、パンをおいしくさせる
食材が秀逸であった。

私が頼んだのは、ロースハムサンドイッチのセット。1,290円。
セットにはスープとサラダか、ラタトゥィユがつく。私はラタトゥィユを選び、
さらにスープは、金額をプラスしてポークシチューにしてみる。

ロースハムサンドは、トーストも選べるが、生をチョイス。
やや厚めにスライスしてあり、とても柔らかな食感。ハムのほか、レタス、玉ネギ、
トマト、チーズがはさんである。

バター、マスタードマヨネーズといった王道の味付けで懐かしくほっとする感覚だが、
キュウリを使わず、玉ネギを使ったところにどこか新しさがある。

さて、脇役のポークシチューにちょっと驚いてしまった。
メニューには、豚バラ肉をトマトとレモンで煮込みましたとあり、
これまでに食したことのない味覚であった。

レモンの果肉や皮は取り除いてあるようで、姿は見えない。が、その爽やかな風味が、
豚肉のネガティヴな面である、臭みや脂っこさを見事に打ち消している。

さらにトマトの酸味、玉ネギの甘みと相俟って、この上ないハーモニーを奏で、
レモンという食材がシチューに新風を吹き込む相当な働き者であることに気付き、
感激するのである。

この感激の味を再現すべく、早速試してみるが、そのレビューは稿を改めるとして、
この料理をいろいろ調べてみたのだが、レシピが見当たらない。
どなたかご存知の方がいらっしゃったら、ご教示頂きたい。

細君は、パンの盛り合わせ(350円)とはちみつ(150円)。

この店には当然ドイツパンも豊富にあるのだが、この盛り合わせにはいっていた
普通のバゲットがまたとてもおいしかった。

焼きたてだったのであろうか、一口大にちぎっただけで、
甘く香ばしい芳醇な香りが漂う。

鼻に近付けて香りを嗅ぐことなく、これだけの香りを発するパンは、そうない。

帰り際にこのパンを買おうとするも、店先にはあらず。しかし、事情を説明すると、
店員さんは即座にカフェに行って確かめてくれ、この日は店頭では販売しない、
イートイン専用に焼いているものだったのかもしれないが、販売してくれたのである。

それはプチカンパーニュというもので、プチというほど小さくはないのだが、
価格はひとつ100円であった。

サービス、味ともに上質のベーカリー&カフェ、再訪は間違いない。



この夏は、かき氷がブームになったが、我が家では夏と言えばかき氷でよく食べている。
この日は、パーラー江古田の沖縄ぜんざいである。450円。


沖縄ぜんざい

やや硬めに煮てあるたっぷりのキドニービーンズと直球勝負の黒糖シロップ、
ボリューミーながら、甘さ控えめなので、ぺろりと頂ける。

この店に来て、サンドイッチを食べないのは、不本意であるが、
夕方近くになると、パンもほとんどなく、夏は沖縄ぜんざいだけを
食べに来るのも良いのかもしれない。

沖縄ぜんざいは14時から。


フィールドワーク(38)2011/08/18 11:11

オープンして数年が経つが、なぜか訪問していなかった。
お盆のさなか、ランチタイムを少し過ぎていたこともあり、
並ぶことなく入店。

ポワンエリーニュメニュー


数種のランチメニューはどれを頼んでも外れはなさそうだったが、
季節限定の惹句にひかれ、豚バラロールとラタトゥイユセット1,500円を注文。


豚バラロールとラタトゥィユ


細君はスープセット、1,000円。
飲み物は別で、アイスティー500円、エスプレッソ400円。
セットにはおかわり自由のパンの盛り合わせがついている。


パンの盛り合わせ


こだわりの素材や製法を謳っているだけに、シンプルなパンが相当な美味であった。

この店自慢のアイテムの一つ、「十勝」が特に良かった。
まずはカリカリの皮の、次にもちもちの食感、
噛むほどにじわーっと甘みが広がる、至高の旨さである。


パンの味わいをさらに増し広げているのが、6種類のディップの存在だ。

6種類のディツプ

ディツプメニュー



これがこの店の人気に拍車をかけていると思われる。

どれも旨みが凝縮しており、パンだけでなくパンとのマリアージュにも
こだわりと熱意と工夫がかなり感じられる。
季節のコンフィチュールは桃とルバーブ。

特にカナダ産のメープルシロップは秀逸であった。
スプーン一杯でバゲット1個はぺろりといける、
パン友選手権があれば表彰台は確実であろう。

エスプレッソも本格的で、一杯一杯豆を挽き、
プロフェッショナルユースのチンバリーできちんと抽出するのだが、
バリスタ役の教育はもうひとつ。

粉をホルダーにつめた後、力をかけて平らにするタンピング作業が
きちんとできていなかった。

コーヒーの抽出スキルだけでなく、豆のレベルももう少しあげてもらった方が、
店のイメージを傷つけないであろう。

この店では、ディナータイムにはビール(エビス)やワインも提供するようで、
次回は赤ワインと共に頂くとともに、テイクアウトも必ずや試みたいと思っている。


フィールドワーク(37)2011/08/17 10:07

山下ナチュラ農園でブルーベリー収穫。
東日本大震災の復興支援チャリティーとして山下さんが企画したイベントの一環。

我が家は2本分のオーナーとなり、4月に植樹、
そのブルーベリーが結実し、収穫期を迎えたのだ。

山下さんの農園では100本のブルーベリーを栽培しているが、
実に様々な品種があり、今回収穫するのは、ホームベルやティフブルーといった
収穫期が遅い品種のものである。

山下ナチュラ農園



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ブルーベリーの実は鮮やかなピンク色から濃紺色へと色を変える。
白く粉を吹いているのが新鮮な証しだそうだ。

摘み取り方や熟度のポイントを教えてもらい、
100本の中からこの日、収穫に適した完熟の実を摘み取らせてもらった。

山下さんが事前に摘み取ってくれていたものを合わせると
オーナー権利として保証してくれていた1本300グラム以上のブルーベリーを
持ち帰らせて頂いた。

山下さんは別の農園で、ラズベリーやブラックベリーも育てており、
この日はブラックベリーの収穫も体験させてもらった。

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ブラックベリーの実はとても柔らかく、熟すと地面に落ちてしまうので、
その直前のものを手摘みし、その日のうちに食すのが最良だそうだ。

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収穫したての生のブラックベリーを食べたのは初めてだったが、
山ぶどうや木苺のような甘酸っぱさがあり、とてもジューシーで
おいしいものであった。

ブルーベリーは、品種により味が違うのが大変、勉強になった。
ティフブルーという品種は大粒で酸味より甘味を強く感じ、
生で頂く場合はより美味しいと思えた。

今回、他の品種も含めとてもたくさんの量になったので、ジャムやタルトも
作ってみたが、その検証はまた稿を改めて行うこととしたい。

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