卒業記念パーティー2011/04/01 12:32


ポールボキューズエントランス


イル・プルー・シュル・ラ・セーヌの卒業記念パーティーに出席。
会場は、イル・プルーと同じビルの地下1階にある「ポール・ボキューズ

フランス料理の正統派を謳うだけに、立食でありながら
前菜、メイン、スイーツと、美目麗しい華やかな料理が並んだ。

特にスイーツは、10数種類はあったであろうか、
皆、目を輝かせ、味わったのであった。

デザート2


途中、弓田校長の歌も披露された。
「枯葉」と「NANTES」(ナントゥ)の2曲をフランス語で歌ったのだが、
バルバラの作詞作曲によるNANTESは感慨深かった。

2曲ともに原語歌詞とその邦訳が配布され、NANTESは弓田校長自らの
訳詞というのも魅せどころである。
NANTESはフランス西部に位置する町で、一度、仕事で行ったことがある。

日本の自動車メーカーの工場を取材したのだが、
粉雪の舞い散る厳冬、太陽は一日中顔を出さず、絶えず震えていたことが思い出される。

フランス人と交わす拙い英語での会話。双方ともに伝えたいことがきちんと伝わらない
もどかしさがあり、思わず膝小僧を抱え、空を見上げてしまう、そんな光景が浮かび上がる。

哀愁を誘うシャンソン調のメロディーが、私の記憶を瞬時に呼び起こしたのであった。

NANTES原語

NANTES邦訳


“とおるちゃん”=弓田亨校長の出だしの訳詞を見みてみると、

Il pleut sur Nantes
ナントゥに私の心を刺す雨が降るわ

イル・プルー・シュル・ナントゥは、
直訳ではナントゥに雨が降る、で、
“とおるちゃん”は、“私の心を刺す”雨、と少なからず感情を入れて訳している。

この出だしの歌詞は、
IL PLEUT SUR LA SEINE(イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ)
思いこさせ、非常に思い入れのある歌であろうということは想像に難くない。
いつか、その思いを直接聞いてみたいものである。

参加者は例年、180名前後だそうだが、今年は100人程度とのこと。
あの3.11の日に教室に泊った生徒の話も披露され、
今年は卒業生、先生方双方にとって思い出深い年になったのであった。

会場雰囲気

このパーティー、自分の属していた入門速成科の参加者7名ほどであったが、
参加費(1万3千円)は授業料とは別になっている。

本科はじめ、上級コースでは、パーティー費用が最初から授業料に組み込まれている。
ポール・ボキューズでの卒業パーティーまで含めて講習ということなのであろう。

自分は、今後、イル・プルーでしか入手できないリキュールやバニラビーンズ、
カカオ、チョコレートなど仕入れ先としてお世話になるので、出席しておこうという
気持であったが、やはり一流のレストランでの料理やサービスに触れてみると、
参加して良かった思う次第である。

入門速成科のみなさん、お疲れさまでした!!

入門速成科の人たち







イル・プルー(10)2011/03/17 12:36

イル・プルー(10)
イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ主催
「嘘と迷信のないフランス菓子教室・入門速成科」

第10回(最終回)
「フランボワーズのケーキ」

最終回のこの日、地震や計画停電の影響があったのであろう、
受講者は通常の20人余から9人と激減。

各々があの日の自分を思い出しながら語る。


最終回なので講師は弓田校長。

イル・プルーでは、ちょうど講義の真っ最中、
帰れない生徒が出て、講師と共に教室で一夜を明かしたそうだ。

自分は、三軒茶屋のキャロットタワーの中にいた。
三茶は20数年通っている美容院があり、午後3時の予約には
少し早く時間をつぶしていた。

1階でありながら相当の揺れを感じ、すぐに表に出ると、
近くの交番に大勢の人が集まっていた。

近くのカラオケ屋ビルの入口上部が倒壊、コンクリートが散乱しているのを
見たとき、かなり大きな地震であったことを実感した。

その日は下北沢を経由して、歩いて帰宅。幸い、1時間余で到着できる距離であった。

美容院に勤める友人を車で送った後、
帰宅難民となっている細君を迎えに行ったのだが、都心は大渋滞。

永福町あたりから抜け道を通って、新宿に出るのに2時間弱。
携帯は通じず、何とかメールで細君と待ち合わせ場所を
市ヶ谷と決め、ようやくたどりつく。

そこから我が家まで3時間近くかかったのであった。

被災者の方々にはお見舞いを申し上げるとともに、
一早い復興をお祈り申し上げる次第である。


さて、フランボワーズケーキ。
イル・プルー流の特徴は以下の通り。

・底と中間の二層のアーモンド生地をフランボワーズのババロアが包み込むような構成
・ババロアにはたっぷりのリキュール(フランボワーズリキュールとホワイトラム)が
 入る。

まずは、焼きあがったスポンジ生地を1cm厚さで2枚取るのだが、
相変わらず平行に切ることができなかった。

ババロアは、卵黄にフランボワーズのピューレを加え、4-5分かけて80℃まで
加熱するのがポイント。


フランボワーズケーキ


フランボワーズのケーキ


写真はお手本のもの。

味はかなり酸味が立っている。リキュールの香りも強い。
舌触りもかなり滑らかで上品に仕上がっている。

メニューに取り入れたい一品だが、日持ちがしないので、
週末限定にするなど、工夫が必要であろう。

この日は、修了証の授与式もあった。
修了証はカラー印刷で、デザインも良く、かなり立派なので驚いた。

持ちかえり用の筒まで配られ、イル・プルーのていねいな考え方が
伝わってくるのである。

自分は半年、10回の参加であったが、相当に為になった。
今後の菓子作りに生かしていくとともに、
復習を何回も重ね、試作を続けていくことが肝要と考えている。

イル・プルー(9)2011/03/03 13:35

イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ主催
「嘘と迷信のないフランス菓子教室・入門速成科」

第9回「タルト フレーズ」「タルト オ シトロン」
いちごのタルトとレモンのタルトレット


いちごのタルトには「パート・シュクレ」を使う。
イル・プルーではアーモンド・パウダーを使うのが他にない特徴である。

生地作りはとにかく良く混ぜることだが、力を入れず、
空気が入らないようにやさしく混ぜていくのがポイント。

柔らかくしたバターに粉糖、全卵、アーモンドパウダー、粉類の順で混ぜる。
粉糖だけでも400回混ぜる。

こうして全ての材料を加えるたびに各300回~400回混ぜるので、
混ぜ終えるのに約30分かかる。

一晩おいて整形した生地をから焼きし、アーモンドクリームをたっぷり入れ、
さらに焼く。ここにいちごのリキュールを効かせたポンシュをたっぷりうち、
ジュレにくぐらせたいちごを戴き、完成。

いちごのタルト

これは、お手本のもの。

家庭では、切り分けてからいちごを載せた方が失敗が少ないとのこと。
いちごは濡れ布巾で産毛と汚れを取る。絶対に洗ってはならない、とのことである。

いちごのタルト1


まずは、8等分に切り分け、

いちごのタルト2


いちごのタルト3


それぞれのピースにいちごを載せていく。
こうして完成させてしまうと日持ちがしないので、
この日は5ピース分だけ作り、自分と細君の各々の実家へ持っていく。

レモンのタルトレットには「パート・ブリゼ」を使う。
砂糖を使わないので、甘味の強いアパレイユの菓子の生地に合う。
キッシュの生地にも使える。タルトレットは小型のタルト。

パート・ブリゼの作り方はパート・シュクレと全く違う。
粉類とバターをフードプロセッサーで混ぜる。

ここに卵と牛乳等を混ぜた卵液を刷毛で少しずつ垂らしながら、
何回かに分けて加えてゆく。

レモンのタルトレット


これは何といっても焼きたてが美味しい。
アパレイユは全卵、グラニュー糖、バター、レモン汁、レモンの皮等で構成され、
粉は入らない。

そのため、カスタードクリームのような滑らかな舌触りが得られ、
しっかりとした歯ざわりのあるブリゼ生地ととてもよく合い、
感動的な味わいを生み出すのである。

今回、一度に4個作る生地の分量で焼いたが、中のアパレイユを変えれば、
バリエーションが増えるので経済的で使いやすいメニューといえそうだ。







イル・プルー(8)2011/02/17 10:54

イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ主催
「嘘と迷信のないフランス菓子教室・入門速成科」

第8回「マーブルケーキ」「ナッツのパウンドケーキ」

マーブルケーキ

マーブルケーキとナッツのパウンドケーキ

写真はいずれもお手本のもの。

マーブルケーキの材料の特色。
糖類にグラニュー糖とキャソナード(フランス産赤砂糖)、
オレンジコンパウンド、チョコレートはペック社のアメール・オールを用いる。

工程で何より気を使うのはバターの扱い方。
最初から最後までとにかくバターの柔らかさ加減を保つこと、
ホイッパーで混ぜたときに軽く感じる程度、少し柔らかすぎるぐらいの加減を
キープするのがポイントである。

まずはバターにグラニュー糖とキャソナードを5回に分けて加える。
1回加えるごとに粒子が見えなくなってから50回ほど【円】で混ぜる。

この時、重たく感じてきたらその都度、ボールの底を極弱火で2-3秒加熱し、
手早く混ぜる。無論、加熱しすぎてバターが分離するようなことがあってはならない。

次に卵黄を5回に分けて加える。
このときのバターの柔らかさに対する気配りも同様で、
加熱しては混ぜ、加熱しては混ぜを繰り返す。
1回加えるごとに卵黄とバターがほぼ混ざってから50回、円で混ぜる。

次にメレンゲを2回に分けて加える。メレンゲを加えると生地は少し硬くなるので、
その前に加熱してこれまで以上に柔らかいと感じる具合まで柔らかくしておく。
メレンゲはつぶさないよう、1回目はひとすくいの量をゆっくりと全体に散らすように
混ぜ、2回目は残りすべてを50%の混ざり具合で混ぜる。

最後にに粉類を5回に分けて加える。

こうしてようやく生地が完成。
非常になめらかな生地であるわけだが、焼き上がりは、結構どっしりとしている。
かといって重すぎす、口当たりの良い、しっとり感のあるケーキに仕上がっている。
オレンジコンパウンドの風味も良く効いている。

ナッツのパウンドケーキは相当量のナッツ(アーモンド、ヘーゼルナッツ、くるみ)を
使うことに特徴がある。

アーモンド、ヘーゼルナッツはスペインのアリクサ社産くるみはフランス産と、
当然、イル・プルー流のこだわりがある。

1本全体で約440g(焼きあがり前)のうち、上記3種のナッツの占める分量は146gで
あるから、およそケーキというより、ナッツを食べているという感じになる。

また、ラム酒を16gも使用するので、好みが分かれるところでもある。
大量のナッツのおかげで、出来上がりはぼそぼそとしているが、薄く切って、
フォークなど使わず、手で食べてしまって、素朴な田舎の焼き菓子の味わいを楽しむ、
というのもひとつの趣向であろう。

どちらのケーキも日持ちがするので店では扱いやすいメニューではあるのだが、
スターティング・レギュラーメンバーではなく、年に数回の助っ人的存在としての起用を考えている。




イル・プルー(7)2011/02/04 11:45

イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ主催
「嘘と迷信のないフランス菓子教室・入門速成科」

第7回はチョコレート各種

イル・プルーのチョコ

これはお手本のもの。

イル・プルー流はペック社のチョコレート、ココアパウダーを使うこと、
リキュールはオレンジキュラソーとカルバドスを用いることにある。
意外にもラム酒は使わない。

前日にガナッシュを仕込んでおき、翌日にそれを上がけ(トランペ)する手順。

この上がけに使うチョコレートには、通常、複雑で難しい作業である、温度調節作業、
いわゆる「テンパリング」が必要だが、この講座では、テンパリングをしなくても
柔らかく、口どけの良いチョコレートを仕上げられる方法をレクチャーしている。

パータ・グラッセ・プリュンヌとスイート・クーベルチュールを
半量ずつあわせたものを使用する方法で、この場合、テンパリングが必要なく、
溶かしてよく混ぜれば使用できるのである。

因みにテンパリングについてはcuokaのサイトに詳しく書かれている。
チョコレートの会社によってテンパリングの温度が微妙に異なるようで、
それを一覧にしているのも参考になる。

無論、イル・プルーでもこの時期ドル箱となる手作りチョコレートセットを販売している。また、ペック社のチョコレートをプレゼントするキャンペーンもはじまっているようだ。

チョコレートを扱うのは難しいが、開業の際は、1月ー2月には期間限定でコーヒーに合う
生チョコを提供したいと考えている。また、いずれにしろコーヒービーンズチョコの提供は必須であり、テンパリングと向き合わねばならないのである。