焼き肉屋のデザート2010/06/14 13:12


concert 01

社会科学者で大学教授である妻の友人のお誘いでコンサートへ。
久々のフル・オーケストラに酔う。
この日は、千住明がゲスト出演、NHKの大河ドラマ「風林火山」のテーマ曲が千住自らのタクトにより演奏された。

この曲を聴くと、市川亀治郎と内野聖陽を思い出す。ふたりとも芝居巧者で、特に市川の若いながら円熟味あふれる演技は、往年の市川雷蔵を彷彿とさせ、普段、時代劇など見ない私も、このドラマだけは毎週の放送を楽しみにしていたものだ。
演奏は、明らかな練習不足が露呈してしまったが、
今度はN響の奏でる同曲を生で聴きたいと感じている。
しかしながらメインの現田茂夫の指揮する演奏は良く、
この日の圧巻は、最後に演奏されたチャイコフスキーの序曲「1812年」であった。

concert 02


フルオケの威力をいかんなく発揮し、生の音楽会の持つ魅力を十二分に堪能でき、招待してくれた友人に心より感謝する次第である。
その後、夕食は東急プラザ裏の「ぶち」。豊富なホルモン系のメニューで知られる焼き肉店だが、この日は高校生のご子息もいたので、カルビやロースなどのいわゆる定番メニューを多く食した。

焼き肉ぶち

デザートでひとつ勉強になることがあった。
黒板に書かれたメニューのひとつに「クレーム・ダンジュ」なるものがあった。
クレーム・ダンジュとは何か?
「クリームもしくはクレーム・ブリュレ」なら耳にしたことも食べたこともあるが、「クレーム・ダンジュ」は誰もどんなものか想像できない。

クレーム・ダンジュ

さて、提供されたクレーム・ダンジュは、スプーンで容易に掬うことができないほどコチコチに固まっていた。

味はヨーグルトを凍らせ、甘味を加えただけの、いわゆるフローズン・ヨーグルトそのもののように思われたが、いや、かすかにチーズの味がするという意見もあり、疑念を残した。
さて、本格的な調査はまだだが、我が家にあった『カロリーで選べるチーズケーキ』では以下のように解説されていた。

クレーメ・ダンジュ レシピ

“クレメダンジュとはフレッシュチーズのフローマジュブランを使ったデザート。ふわふわと軽い口当たりで、とろけるような独特の食感が楽しめます。”

レシピは他に生クリーム、砂糖、メレンゲで、それらを軽く混ぜあわせ、冷蔵庫で水気を切る、とある。

楽天のようなネットショップでも多くの店舗が取り扱っており、記述も様々、セールスキャッチも多様である。

“フランス・アンジュ地方の伝統的なチーズ菓子”
“creme d'ange は天使(ange)のクリーム”
“神様のごちそうとも言われ”
等々……

今、流行しているチーズケーキの一種のようで、各店舗とも趣向を凝らし、ローカロリーや希少原料等をうたって差別化を図っている。
では、フロマージュブランとは何か? 
フロマージュ=チーズ、ブラン=白い、
つまり白いチーズ、熟成されていないフレッシュチーズのことをいうようで、作り方も様々、原料のミルクに羊のものを使うところもあるようだ。

ということで大変、勉強をさせていただいたホルモン焼き肉店のデザート「クレーム・ダンジュ」。
取り寄せや、フィールドワーク、技術訓練が必要とされる一品である。

コーヒー講座52010/06/17 17:53


コーヒー講座のテキスト表紙

1Day講座と称するKEY COFFEE主催の講座に参加。1Day講座には
ドリップ、エスプレッソ、サイフォンの3種があり、まずはドリップ。

時間は途中休憩1時間をはさみ、10:00-16:00。
参加者15名。

参加前のイメージは、1日かけて抽出技術を徹底的に習得するのであろうと想像していたが、実際は実質5時間で抽出できる機会は2回のみ、
そのうち1回は抽出スキルというよりアイスコーヒーのつくり方教室であった。

概要は以下の通り。

午前
・座学……コーヒーの産地、種類、風味等について
・カリタ式での抽出の方法 お手本と実践1回

午後
・座学……焙煎、保存法等について
・業務用のマシンドリップの取り扱い方
・アイスコーヒーの作り方(できあがり4ℓを業務用ネルドリップで
  抽出する。ネルの取り扱い方と抽出の手本)
・アイスコーヒーの作り方 実践1回
 
業務用のマシンドリップの説明やアイスコーヒーの大量抽出の方法は
自分には不要と思われたが、KEY COFFEEのフランチャイズではこうした手法を取り入れているのであろう、真剣にメモを取る参加者も少なからずいた。
今時、MACやファミレスでも1杯ずつの抽出に移行している中で、
“抽出後の30分以内の処理の徹底”等を真剣に説いているのが、不思議であった。そのような需要があり、本当にそうした処置が必要であるのかと。テキストにも留意点としてきちんと掲載されており、
100席以上の大型店では必要な措置なのかもしれない。
コーヒー講座・マシンドリップ

コーヒー講座・ネルドリップ急冷法


ペーパードリップでの抽出はこれまでに各種講座を体験したが、今回、
カリタ式で初めて教わったことがあったので記しておく。

カリタ式のポイント
抽出は杯数にかかわらず、3分で終える。
 1杯分でも、10杯分でも3分で落とす。
   少なければ湯を細く、多ければ湯を太くして調節する。
 因みに40杯分をネルドリップでいれる場合も抽出時間は3分。

○必ず熱湯を用いる。ポットのふたを開け、湯が沸き、気泡が出ている
   ことまで確認する。

○第1投はまず真ん中に重点的に湯を落とす。その後周りをまんべんなく
   濡らしていく感じ。サーバーに数滴エキスが垂れる程度が良い。

○蒸らし時間は20秒。

この後の湯の注ぎ方に特徴がある。

まず中央に低い位置から静かに注ぐ。湯を注いだまま、注ぎ口を高い
 位置にもっていき、少し勢い良く、低い位置に戻す。
 この時、粉の中に対流を生じさせることが良い味につながる秘訣である
 という。
 低い位置に戻したら、限りなくゆっくり、1周する。

 これで第2投が終了。

○第3投以降は湯の量をだんだん少なくする。
 全部で5,6回で抽出を終えるようにする。対流をおこすための、
 低い位置から高い位置、低い位置に戻してゆっくり一周の注ぎ方は
 3投目以降も全て同じ。

この方法は今まで見たことも聞いたこともなく、驚きであった。
どの本にも載っていないであろう。ただ、カリタ式の本流はKEY COFFEEであることを思うと、これが正しいやり方なのかもしれない。

コーヒー講座・ペーパードリップのいれ方


その他、ガムシロの作り方も収穫であった。グラニュー糖と水を三分間、ミキサーにかけるだけで良いそうだ。仕入れるより安く、時間に余裕のある店にはこのやり方を推奨しているとのこと。

お土産は、オリジナルのキャニスター、新商品・氷温熟成珈琲マンデリン160g、ペーパーフィルター、計量スプーン。

講義料は6,300円。(税込)

自分にとってはあまりCP度は高いとはいえないが、一方で新たな発見もあった。何より、今はクリティカルに判断するための基礎知識を蓄えることが肝要なのだ。

コーヒー講座62010/06/23 17:07


カプチーノ2


KEY COFFEEの1Day講座“エスプレッソ・カプチーノ編”。
時間は先日のドリップ編と同じ10:00-16:00。
参加者12名。

テキスト

ドリップ編と比べるとこの講座は実習中心で良し。
午前中はエスプレッソの抽出について講義と実習、ひとり2回。
午後はカプチーノ編でこちらもひとり2回、時間が余れば希望者は3回抽出実習が可能。

ハートやリーフ等のラテアートの基本も学べる。

エスプレッソに関する基礎の基礎をまとめておく。
基本4原則

1.抽出温度90℃
2.抽出圧9気圧
3.抽出量30cc
4.抽出時間20~30秒

これらが守られてはじめてエスプレッソといえる。
そして抽出時間を20秒~30秒にするために知識とスキルが必要とされるのだ。

抽出時間を決めるのは次の3項目。

1.粉の粒度
2.粉の分量
3.粉の押し固め具合

粉の粒度が粗すぎると早く抽出し、旨みを引き出せない。
逆に粉が細かすぎると抽出時間は遅くなり、苦みや渋みが出すぎる。
粉の分量も然り。多過ぎても少な過ぎてもいけない。また、最後に手で押し固めるときの圧力も重要で、少し力を入れて体重をかけ過ぎてしまうと、硬くなり、抽出時間が遅くなる。
実際、この日は5回抽出を行ったが、全く同じ時間には仕上がらず、3回は30秒以上のオーバー抽出であった。
粉の量と押し固め具合の関係であろうとアドバイスを受ける。
これは実際に採用するマシーンで何回か練習するよりないであろう。
この講座ではCIMBALIを使用した。

土産


お土産はカプチーノ用カップ&ソーサー、粉2種。
講義料は6,300円(税込)。
実習が5回できたので、CP度はすこぶる高いといえよう。

カプチーノ

カプチーノのお絵描きは楽しい。レッサーパンダカプチーノを店の看板商品として早く提供したいものだ。


フィールドワーク(8)2010/06/28 11:44


シンチェリータのジェラート1


シンチェリータのジェラート。
左:カカオフランボワーズ、ペパーミント、ラックココ(ココナッツ)の3種 500円
右:ピスタチオ、ノッチョーラ・スクーロ(ヘーゼルナッツ)、マンゴーの3種 600円
ピスタチオが入ると100円UPする。
甘味は杉並区・荻窪に本店を持つはちみつ専門店・ラベイユのはちみつのみで表し、食材は国産にこだわる。
フルーツやナッツといった食材そのものの旨みが凝縮されており、食材よりも食材らしさを感じる逸品。
はちみつの甘さは、すっきりとしてアフターテイストも爽やか。
これまでのいわゆる高級ジェラートの概念を覆されたといってよい。

私のジェラートナンバー1は、かつて川高島屋バール・ジェラテリア アンティカ であった。
以下、パンチェーラ(新宿高島屋B1)や
マリオジェラテリア(新宿伊勢丹)、
GROM(新宿丸井・原宿)にも行ったが、シンチェリータのジェラートは、群を抜いているといっていいだろう。

チョコレート系に力を入れるGROMはイタリアから直輸入している店だが、地産地消やフードマイレッジが叫ばれる中、

“イタリアの優秀な農業家からの新鮮で季節に合ったフルーツのみを使用すること、着色料や合成添加物は使用しないことです。ソルベのベースとなる水には、ルリシア山の水、クリーム系のジェラートには高品質のフレッシュな生乳をまた、バイオロジカル・エッグ、中央アメリカからの厳選されたカカオとカフェなどを使用しています。”(HPより抜粋)

とあるが、
イタリア国内で展開することに大きな意義はあるだろうが、それを国外へ輸出しているという段階で既にコンセプトワークが破綻しているとはいえまいか。

それに比べ、シンチェリータはあくまで国産にこだわる。

“私が考える国産である意味は、より日本人に合う味であり、豊かな日本の食材を出来る限りフレッシュに使うことであり、国産である安全性を明確にしたいというものです。
また、材料が国産であるだけでなく、製造技術、レシピも全てオリジナルにすることで、全てにおいて国産であるということができます。”

荻窪に本店を持つラベイユのはちみつを使ってジェラートを展開している店が、渋谷、中目黒に次いで新たに阿佐ヶ谷にできたのは、杉並区民にとってはたいへんうれしい。

もっと話題になるべきジェラートである。

シンチェリータのジェラート2



フィールドワーク(9)2010/06/28 13:57


マンモスコーヒー・チーズケーキ


COFFEE LOVERS』という本に紹介されていた自家焙煎店、
マンモスコーヒー(MAMMOTHCOFFEE)」へ。

住所は練馬区関町だが、ちょうど杉並区と隣接している地点で、近くには善福寺公園もあり、緑豊かな場所。
青梅街道という大幹線道路に面しているにもかかわらず、一歩店内に入ると、驚くほど静寂で居心地の良い空間を提供してくれる。

ブレンドは
ビター、ミディアム、ライト、ショコラ、フローラルの5種。
妻はショコラ、自分はビター。チーズケーキもオーダー。
コーヒーは少しあっさりめで、ビターというよりマイルドとネーミングしてもいいほどまろやかであった。自分の好みとしては、もう少し苦みとコクが出た方が良い。

淹れ方はカリタ式を想像していたが、後で尋ねると、コーノ式だそうで、
粉の量も少し少なめで、ビターブレンドとはいえ、焙煎深度も割に軽いほうなのかもしれない。
チーズケーキは色は濃い焼き色が入っているが、味はコーヒーに合わせてあるのか、あっさり系であった。
注文はひとつでも、フォークがふたつ添えられているのは、サービスの基本であろうが、やはりうれしく感じるものである。

この店はカフェはあくまでも併設で、豆売りを主としていることがうかがえる。
この日はセール日であったこともあり、ひっきりなしに客が訪れていた。

カフェと豆売りの売上比率をどう捉えるかで、店づくりはレイアウトをはじめ、メニュー、スタッフなど大きく変わってくることをあらためて考えさせられたのであった。

マンモスコーヒー外観