名人戦第5局2011/06/02 14:55

後手番の羽生名人が横歩取りを選択、
流行の8五ではなく、8四に飛車を構える戦形で
中盤から差を広げ、あぶなげなく勝ち切った。

NHKの中継では、中盤から羽生優勢としていたが、
控室含め、誰も予想しなかったのが、羽生の72手目、△5二金であろう。

攻め急ぎを避け、手番を渡した受けの手なのだが、
指されてみればなるほど、
この人は本当に大局を観ているのだと、感心せざるを得ない、見事な一着であった。

まさに強い時の羽生名人が帰ってきたという印象を
多くの将棋ファンに与えたのではなかろうか。

これで2勝3敗とし、次の第6局は羽生名人が先手。
この二人の対局は、先手番優勢というデータがあり、
是非名人に勝ってもらい、最終局までもつれこんで欲しいと願っている。
こうなるとますます桜井章一との対談内容が気になってくる。



コーヒー講座262011/06/03 18:14

NOZY COFFEE


NOZY COFFEE主催
フレンチプレスセミナー

時間:10:00-11:00 (定時)
参加者:4名(定員4名)
受講料:¥1,000(税込)

豆の特徴が一番出易い抽出法といわれるプレス式をきちんと学ぶべく受講。

まずは、コーヒーとのかかわりなど自己紹介をさせ、座学に入るのだが、
講師の自己紹介はなく、結局誰に教えてもらったのか分からなかった。
人に自己紹介を乞う場合はまず自ら名乗っていただきたいものだ。

NOZY COFFEEのコンセプトはシングルオリジン。
コーヒー豆の生産国、生産地域、生産処理方法が明確で、
またそれらが一切ブレンドされていないコーヒー豆のみを提供するのだという。


最初に2種類の異なった香味のコーヒーをカッピング。
明らかに違うタイプというのが認識できる仕組みだ。

そしてこの日は5種類のコーヒーを味わうべく、ひとり1種類ずつ抽出して飲み比べ、
自分の好みのコーヒーを見つけようという趣旨。

コーヒーをより好きになってもらおうという導入セミナーとしては
大変良くできており、参考になる。

フレンチプレスで淹れたコーヒーは、
これまで一度も美味しいと思ったことはなかったが、この日のものはなかなか良かった。

教わったプレスの淹れ方。詳細がHPにあるが、ポイントを記しておく。

1.豆の量は18g。できあがり300cc目安
2.挽き目は中粗挽き。ペーパーと同じで良い。
3.ポットに湯を注ぎ温める。
4.タイマー(4分)をスタート、
  コーヒーの粉全体にお湯がいきわたるように1/3程度の湯をやや勢いよく注ぐ
5.30秒蒸らす。
6.30秒後、ポットを傾けて粉の層を崩さないように、限りなくゆっくりと
  ポットの淵に沿わせるようにお湯を注ぐ
。上から2cmくらい残す。
7.プランジャーをはめる。
8.タイマーがなったら、プランジャーをゆっくりと押し下げる。

この日、テースティングしたのは次の5種。
・ブラジル グロタフンダ農園(2010年COE)
・コスタリカ ブルマス農園
・ブラジル サンタイネス農園 ナチュラル
・ルワンダ マラバ農園
・ニカラグア ブエノスアイレス農園 マラカトゥーラ種
 マラカトゥーラはマラゴジッペとカトゥーラのかけあわせ

私が気に入ったのは、ニカラグアだった。
フローラルな香りで心地よい酸、飲みやすく、
ロングアフターテイストが印象的であった。

ブラジルのナチュラルはフレンチプレスで抽出すると
やはり油脂分が多く感じられ、少しくどい感じがした。

明るい酸や、華やかな酸を持つ香り高い豆には
確かにフレンチプレスという抽出は合っているのかもしれない。

因みにこの店では100g700円、200g 1200円、 300g 1400円、
400g 1600円 という、豆の総重量で価格が決まるという面白い値付けをしている。
スペシャルティでも100g700円は高い部類だが、400g1600円は相当安いといってよい。

テイクアウト販売やセミナーの開催も数多くあり、
好感のもてるコーヒーショップである。

今回、このセミナーでフレンチプレスに対する見方が変わり、
自分にとっては良かったと思う。

抽出法によりコーヒーの味は間違いなく変わる。
しかし、美味しいと思う味は人それぞれで、
それを決めるのは、提供する側ではなくてあくまでもお客様だ。
そのためにあらゆる抽出法に対応したいという考えは確固たるものとなった。







フィールドワーク(31)2011/06/06 12:13

先日、セミナーで訪れたNOZY COFFEEの向いに
パン愛好者なら誰でも知っているシニフィアン・シニフィエがある。

まだ一度もここのパンを食したことがなく、
天気も良かったので世田谷公園へ出かけ、パン&ラテランチ。

世田谷公園


シニフィアンシニフィエのパン

コブ・サラダは来る途中のスーパー・信濃屋で。

バゲット・プラタヌ(ハーフ)240円。
流行の外カリ中フワなどという触感は追及していない、王道の味といったところか。
噛みごたえ十分、畢竟、良く噛むことで旨味を味わえる仕組みになっていることに脱帽。


パン・オ・バン

パン・オ・バン
店頭販売のみ計り売りが可能で、2スライスで260円前後。

これはちょっと衝撃的な味であった。

ナッツやフルーツがぎっしりと詰まっているので、
そのような味わいを期待すると全く違う。

しっとりとした上質なパウンドケーキのようだが、
たまご、バター、砂糖は使っていない。

これはやはりパンであり、主役はパンなのだ。
赤ワインの香りに、小麦の深い味わいが、強烈なインパクトを与える。

赤ワインを半分にまで煮詰め、生地の4割に使用していること等、
このパンのこだわりはHPに詳しいが、これを読むと驚愕の美味さに納得する。

カフェラテ

NOZY COFFEEのカフェ・ラテも秀逸であった。
この日の豆はブラジル サンタイネス農園のもの。

エスプレッソで抽出すると酸味が、かなりといっていい程際立つが、
スチームミルクと合わせると抜群のマリアージュを見せる。

スタバやタリーズのものとは明らかに違う逸品である。
これで350円はリーズナブル以上至福の喜びといえようか。



コーヒー講座272011/06/08 19:20

コーヒーマイスター実技研修
日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)  トレイニング委員会主催
講師:土屋浩史氏(カフェプントコム)他

SCAJのコーヒーマイスター制度はトレイニング委員会により運営されており、
当日は委員長のバッハコーヒー社長・田口護氏、同社の中川部長、
ウエシマコーヒーの角地氏、UCC上島珈琲の佐伯氏ほか委員会のメンバーが勢ぞろいし
指導にあたるという、受講者にとっては大変貴重な研修の場となった。

内容は土屋氏の講義と主にカッピングの実習。
カッピングはまずは基本の基本を身につけるという趣旨で、
通常行っている、強く音を立て霧状にしてすするという手法を敢えてせず、
4つのサンプルの違いを理解してみようという内容。

カッピングフォームもきちんと用いる。
8つの評価項目のうち、フレーバー、カップのきれいさ、甘さ、総合評価の4つの項目に注目し、スコアをつける。

4つのサンプルはブラインドでカッピングし、のちにディスカッションする。
4サンプルのうち一つはコマーシャルコーヒーが入っているのだが、
これは誰にでも判別できたようだ。

グアテマラのEPWというグレードで、SHB、HB、SHに次ぐ4番目のもので、
焙煎も意図的に浅くしてあったため、他との区別はつきやすかった。
そのほかの3つがスペシャルティで、うち二つは大変わかりやすい、
ケニアとマンデリンでスコアも非常につけやすかった。

だが、もうひとつのサンプルが私にはいまひとつぱっとしない印象で、
やや甘味やアフターテイストが良かったぐらいで、
酸味にも際立った特徴はなく、まあ、バランスは良いという程度の評価だったのだが、
これがグアテマラのCOEの豆だったということに驚愕してしまった。

自分の評価もまだまだだ。たまにはCOEの豆も購入し、テースティングしなければ。

マイスター資格はこの実技研修を終え、筆記試験で100問中60問以上正解であれば、
認定されるとのことで、8月4日の試験日まで、暗記に苦しむ日々となりそうだ。



名人戦第6局2011/06/09 13:03

羽生名人が接戦を制し、決着を最終局に持ち越した。
攻め、受けともに妙手が連発した息詰まる熱戦、
"名局"の名にふさわしい一戦だった。

本譜は考えに考え抜いて指された一手の重み、
そのわずか一路の違いが勝負の分かれ目となることを伝えている。

例えば、
▲羽生名人の83手目の2六香。


83手目2六香


以下、
△2四歩
▲2三歩
△同銀
▲2四香 と進んだ形は

83手目に単に2三歩と垂らした場合と比べると先手が一歩得する高等戦術で、
細やかな指し手に解説の阿久津主税七段も敬意を払っていた。

また、
▲97手目の6五金

97手目6五金


直前の△96手目9五桂という厳しい反撃の手を受けず、果敢に角取りに出た一手

そして▲105手目 6八銀打

105手目6八銀打

受けの妙手で、後々▲2四に桂を打ちたいときに
王手でその桂馬を抜く△7九角打ちを防いでいる。

この局面を解説していた片上大輔六段、阿部健治郎四段は
7八に銀を打って受けると予想していたが、たった一路違うだけで
攻防に大きく寄与するこの一手に感心していた。

一方、一路違いで大きく差が出たのが、森内の△110手目8三香だ。

110手目8三香



これを8四とひとつ上から打っていれば、
▲115手目 8三金と香を取った手が飛車取りにならずに
局面は変わっていただろうとの阿久津七段の解説があった。

このようにわずか一路の違いを間違えずに正確に指した羽生名人が
勝利を得たのだと自分には思えた。

最終局の先手、後手は降り駒で決まる。
先手有利の両者の対局は、振り駒から大きな注目を集めるに違いない。

最終局もこの第6局のような名勝負を見せていただきたい。