フィールドワーク(12)&ロケハン2010/07/28 10:31


トゥランシュ・シャンプノワーズ


代官山 イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ
トゥランシュ・シャンプノワーズ 714円。

高校の友人の紹介で訪問。一日教室に参加した友人が、
メレンゲを作るのに卵白を3-4日寝かせることに驚いたという店。

さて、話は多少長くなるが、私は開業関連のどのスクールに通うかずっと迷っていたが、最近ようやく方針がまとまってきた。

それは、東京商工会議所のセミナーで経営や資金調達について学び、
コーヒーやスイーツについては別に専門のところに通うというものだ。

東商の創業ゼミナールは全8回で内容もしっかりとしていて、費用も8回分で5,000円と破格の安さである。
これはみのりカフェのセミナーで教えて頂いた。

コーヒーについてはカフェ・バッハ堀口珈琲研究所で学ぶ。
またKEY COFFEEやTully'sの講座にも参加してきた。
そして頭を悩ませていたのがスイーツであるが、一時はコルドン・ブルーを考えていた。
しかし、私には敷居が高く、値段も高額で、いまひとつ気が乗らなかった。

当初は、カフェ開業というときの東京での三本柱、
レコールバンタン
カフェズキッチン(佐奈栄学園)
リライブフードアカデミー

などを考えていたが、各々100万くらい費用がかかってしまうことが
ネックであった。

そこで出会ったのが、このイル・プルー・シュル・ラ・セーヌである。
ここには入門編として全20回で24万、また半分の10回コースもあり、
基本的な知識とスキルを身につけるのに十分であり、費用もリーズナブルなのである。

しかしながら、スクールに通うとすれば、その店のケーキが本当に自分に合っていて、
おいしいと感じるかどうかは重要な観点であり、それを確かめるためにこの店を訪れたのである。

冒頭の名前が覚えられない「トゥランシュ・シャンプノワーズ」は、ひとことでいえば、上品な大人の味といったところであろうか。複雑な味わいがあり、私にはうまく表現できない。

帰って妻が何気なく開いた『東京五つ星SWEETS』という本にこの店が掲載されていた。そこには次のような記述があった。

“シャンパンのムースと軽い味わいのバタークリーム、ジェノワーズ、
ダクワーズを基本に、チョコレートのガナッシュがかかるなど、
様々な素材から作られた菓子。
シャンパンとマール酒の香りがふわっと広がる。”

このイル・プルー・シュル・ラ・セーヌの教室では、
店で販売しているものと全く同じものを作るコースもあり、
そちらは40回で999,600円の授業料がかかるのである。
ともあれ、このスクールの入門コースに10月から通うことを決めた。

科学的でロジカルな作り方を提唱するこの店のオーナーシェフ・弓田亨氏が店名を決めた時のエピソードも気に入っている。

"IL PLEUT SUR LA SEINE——フランス語で、「セーヌに雨は降る」という意味です。
 
初めてのフランスでの研修。小雨にけむるセーヌの河岸は、ちょうど2歳になり片言を話し始めたばかりの、日本に残してきた子供を偲ぶための、これ以上とない情景でした。子供心にも全てを理解し、母の腕の中で「行くな」とバタバタあばれる様は、私の忘れえぬ、生きていく限りの心の傷であり、私のお菓子作りの人生を大きく規定するものでした。

 店を開くにあたり、あの時の思いを織り交ぜた名前を付けたいと考えました。精神性溢れるお菓子作りをめざし続けるための、自戒を込めた名前の選択でした。

「セーヌに雨は降る」
 
私のお菓子作りへの思いと生き様は、全てこの名前の下にありました。"