フィールドワーク(23)2011/01/07 19:23

阿佐ヶ谷の「超珈琲亭」へ。
以前は生豆の卸販売を営むワイルド珈琲の直営店であったが、
2009年10月頃、経営が変わったようだ。

ワイルド珈琲の店長の当時のブログによれば、お店は10坪で、月の売上は90万、
黒字経営だが、買い手を探しているとあった。

区役所の青梅街道を挟んだ向かいにある好立地、家賃もそれなりであろうが、
生豆輸入問屋の直営であればこその黒字ということであろう。

さて、コーヒーは、深煎りの「センセーションブレンド」をオーダー。
本日のケーキ「ガトーショコラ」とあわせる。
セットで730円。

超珈琲亭センセーションブレンド

ブレンドは他に超珈琲亭ブレンドとスペシャルブレンドがあった。
ハリオ式ドリップで淹れているようで、全体的にあっさりめながら、
深みとコクをしっかりと感じる。
ケニヤベースで、コロンビア、インドネシアを配合とのこと。

ここの売りでもある、2杯めのポットサービスは、演出的には非常に良い。
ろうそくの熱はやわらかく、コーヒーを加熱し過ぎない。

1杯分の価格で2杯分を楽しめるサービスであるが、
自分にはやや薄めと感じた。1杯分の抽出量でちょうど良かったのではなかろうか。

超珈琲亭・ガトーショコラ


ガトーショコラは、やや柔らかめの生地にオレンジピールを効かしたさっぱりめの風味。マリアージュとしては「あっさり×あっさり」で合っているのであろう。
無論、自分の目指しているような、「どっしり×どっしり」もある。

豆売りは以下の様な種類があった。

グアテマラ・ヘクターレアル………500円/100g
タンザニア・ワイルドクリスタル…500円/100g
コロンビア・ミルキーセレクト……530円/100g

そのほか、エチオピア・イルガチェシェ、マンデリン・ビック・アチェ等もあった。

店内は二人掛け席が奥に3つ、一人掛けが3つ4つ、カウンターが3席。
ラーメン屋のような外看板と打って変わって、中はクラシックが静かに流れる、
意外に落ち着ける空間である。


超珈琲亭外観



フィールドワーク(24)2011/01/11 13:39

ルパン外観

ル・パン・コティデイアン
ベルギー発祥で世界17カ国に132店舗を展開するベーカリーレストラン。日本初上陸。
東京プリンスホテル内のカフェ跡にオープンしたばかり。

特徴はオーガニック素材、石臼挽きの小麦、伝統的なレシピそのままの製法でつくる
ブレッド、ジャムやスプレッドがつけ放題等々。

成人の日の休日午後1時過ぎ、艶やかな着物姿もあり、店内は相当な賑わい。
30分前後の待ち時間。

オーダーしたのは、
オーガニック小麦のベーカーズバスケット 780円、
オーガニック小麦の全粒粉タルティーヌ・
ロースハム&グリエールチーズ コルニッションと3種のマスタード添え 1580円
本日のスープ(野菜) 580円
コーヒー(ポット) 550円

ルパン・コーヒー

まずはコーヒーがサーブされる。意外にも一杯ごとのマシーンドリップではなく、
きちんとドリップしたもので、味はまずまず。
大きなカフェオレボールに2杯分の分量があり、
かなりの量のブレッドを食しても十分に足りる量でコストパフォーマンスは上々。

しかしながら、コーヒーが来てから、次のパンが来るまでに10分以上かかったのは
いただけない。
次回からは一緒にサーブするようオーダーするとしよう。

ルパン・バスケット

バスケットに入っているパンは、
バゲット(いわゆるフランスパン)、全粒粉、五穀、スペルト小麦、ライ麦、くるみ、
ヘーゼルナッツフルートの7種類。

どれも小麦の味をしっかりと感じ、皮がかりっとしているのが美味しい。

ルパン・ジャム


ジャムは、いちご、いちじく、スプレッドはチョコレート、ホワイトチョコレート、
ヘーゼルナッツなどがあり、好きなものを頼めば持ってきてくれる。

いちごのジャムは酸味があり、品種改良され酸っぱさが失われた現代的ないちごではなく、昔、砂糖やコンデンスミルクと共に食べたいちごの味を思い出させる、
懐かしい味であった。

これらのパンはとても店内では食べきれないので、
テイクアウトをお願いすると丁寧に袋に入れてくれる。

ルパン・野菜のスープ

野菜のスープは玉ねぎ、コーンを中心とした具材にシンプルなコンソメの味付け。
オーガニックらしい素朴感がある。

ルパン ロースハム&グリエールチーズ

ロースハムとグリエールチーズのオープンサンド。
3種類のマスタードが添えてあるので、味のバリエーションを楽しめる。
その中の特にオリーブのマスタードがハムとよく合い、秀逸であった。

また、ドライトマトとコルニッション(小粒のきゅうりのピクルス)が良い仕事をするのである。
素材の組み合わせや、盛り付け、サービスなど勉強となるところが多々あった。

テイクアウトのパンやスイーツもたくさんある。主なものは次の通り。
クロワッサン…………………240円
パンオショコラ………………250円
ブリオッシュ…………………280円
パンオレザン…………………280円
アップルデニッシュ…………290円
ヘーゼルナッツフルート……300円

パンは他に店内メニューと同じものがある。

レモンタルト…………………550円
みかんタルト…………………550円
ミックスベリータルト………680円
りんごタルト…………………580円
チョコレートムース…………630円
ブラウニー……………………420円
チョコチップクッキー………360円

マフィン6種
バナナチョコ…………………320円
アップルシナモン……………360円
ブルーベリー…………………360円
チーズ…………………………380円
パンプキン……………………340円
ジンジャーグリーンティー…360円

ジャム、スプレッド、コーヒー等も販売している。
日本でのライセンス契約を結んだ伊藤忠はこの先6年で
20店舗の展開を予定するというので、東京西部に来るのが楽しみである。

このときの店内メニューをUPしておく。


ルパン・メニュー・朝食

ルパン・メニュー・サラダ


ルパン・メニュー・スープ・キッシュ

ルパン・メニュー・タルティーヌ


ルパン・メニュー・デザート


ルパン・メニュー・飲み物



コーヒー講座202011/01/17 15:01

SCAJ(日本スペシャルティーコーヒー協会)主催
初級カッピングセミナー

9:30-16:30 (昼食休憩1時間)
受講料:SCAJ会員15,000円 非会員20,000円 
受講者:32名 講師:関根伸慈氏(SCAJテクニカルスタンダード委員会 委員長)

カッピングスプーンとエプロンは持参。
このセミナーは人気高のようで応募が60名以上あり、
自分は運よく抽選にあたり受講できた。

座学と実習による構成で大枠は以下。

1.座学 約1時間半 

・スペシャルティーコーヒーの定義
・カッピングの意義、目的
・カッピングの技術に関する基本事項
・SCAJ方式のフォームについて

2.実習 カッピング3回



座学のポイントを記しておく

・SCAA方式とSCAJ方式とは評価方法が異なる。
 SCAAは評価項目が10項目、各項目10点制
 SCAJはCOE方式をベースとする。評価項目数は8、SCAAではスコアとなる
 Aroma/FregranceとUniformity(5つのカップの統一性、均一性)の2項目がない。

 SCAJの8項目は次の通り。
 1.フレーバー
 2.後味の印象度
 3.酸の質
 4.口に含んだ質感
 5.カップのきれいさ
 6.甘さ
 7.ハーモニー/均衡性
 8.総合評価
 
 各項目8点満点制。「普通」は4、「すばらしい」は6。
 基礎加点が36。
 従って8項目全てが「すばらしい」場合は、6×8=48点。
 基礎点数36を加えた84点が評価点数となる。
 SCAJでは、84点以上をスペシャルティーコーヒーとしている。


・評価項目のタイミング
 液体の温度変化に応じて評価項目を順番に判定していく。
 そのためカッピングフォームもその順番とし、SCAA・COE方式と異なる。

 液体の温度が高い段階
 →【フレーバー】【後味の印象度】のうちの香り
 
 液体の温度が下がった段階
 →【酸の質】【口に含んだ質感】

 液体の温度がさらに下がった段階
 →【甘さ】【カップのきれいさ】【後味の印象度】のうちの持続するコーヒー感が
 甘さで消えてゆくか【ハーモニー・均衡性】【総合評価】
 
 体の熱い時に【酸味の質】【甘さ】【カップのきれいさ】を判断すると
 間違いやすい。

そのほか、各評価項目における注意点やカッピングの際の基本的なHow To(口にあてるスプーンの角度、液体のすくいかた、マナー等、細かなところまで取り決めがあり、資料が配布された。

SCAJセミナー配布資料1

SCAJ配布資料3

SCAJ

SCAAとCOEの違い

カッピングフォーム

カッピングの基本事項


次に実習。第1回目は、4種のコーヒーをカッピング。
あらかじめ2種類がスペシャルティー、他の2種類がコマーシャルであることが告げられていた。

酸味系の2種は判別できたのだが、甘味系の2種がわからず、コマーシャルコーヒーを
スペシャルティーと間違えてしまった。

この4種は、最後に教えられるのだが、コロンビア・ナリーニョのCOE、
コロンビア・コマーシャル、ブラジル・COE、ブラジル・コマーシャルで、
私が誤ったのはブラジルであった。

なぜ誤ったかをカッピング後のセッションで解説してくれたのがよかった。
アロマや酸を強く感じるのが決してよいわけではなく、その質感をきちんと評価することが肝要ということが勉強になった。

カッピング2回目は1回目と全く同じサンプルで、これもコロンビアはすぐにわかるのだが、ブラジルは瞬時には判別できず、習った通り、液体が冷めた時の甘さが素晴らしい方をスペシャルティーとしたのだが、これが正解であった。

カッピング3回目。
1・2回目のサンプルから1種類を抜き、別の新たなサンプルを加える。
但しスペシャリティーかコマーシャルかはわからない。

結果は3種がスペシャルティー、1種がコマーシャルであり、何とか判別はできたが、
自分は評価点を低くする傾向があり、もう少し高く与えても良いことが分かった。
因みに3回目の評価点数を講師、アドバイザーとして来られていたSCAJの林秀豪会長、
自分の分を後学のために記しておく。

①コロンビア・COE
②グアテマラ・インフェルト農園 パカマラ種
③ブラジルCOE
④コロンビア・コマーシャル

林会長
①86  ②93 ③86.5 ④68
このグアテマラは世界最高の農園と仰られていた。

関根講師
①86.5 ②90 ③85  ④69

自分
①81  ②87 ③82  ④67

今回のセミナーでは、前述のSCAJ林会長がアドバイザーとして参加しており、
実習中はスプーンの持ち方や、スプーンにすくうコーヒーの量、コーヒーのすすり方等、基本スキルを細かく指導するだけではなく、大型やかんを持ってひとつひとつのカップに湯をさす作業まで手伝われていたのが印象に残る。

この日は大勢のボランティアが進行上必要だったようだが、かの丸山健太郎氏までもが
運営を細かくサポートしていたのには正直驚いた。

コーヒー豆の評価方法は実に様々だ。
SCAA方式を採る堀口俊英氏(SCAJ理事)、カッピングだけではなく、きちんと抽出して
判断すべきという田口護氏(SCAJ副会長)、
そしてCOE方式を採りいれるSCAJ(テクニカルスタンダード委員会)、

こうした相違はそのままコーヒー業界の商業派閥と見てとれるのが面白いが、
自分としては方式は違えどスキルは磨き続けねばならないと実感した次第である。



紅茶講座(1)2011/01/19 10:23

日本紅茶協会主催
ティーアドバイザー養成研修
全3回+資格試験1日
10:00-16:00 (昼食休憩1時間)
受講料:84,000円  受講者:46名

紅茶に関する基礎知識、産地別のティスティングからマーケティングや販売技術に関する知識まで幅広く学ぶもの。
試験を受けて合格すると「ティーアドバイザー」の資格認定証書がもらえる。
紅茶に関しても最低限の基礎知識と抽出スキルを習得するため受講。

その第1回目。内容は以下。講義のみで実習はなし。

1.茶の流通(茶園からティーポットまで)
2.その他飲料(コーヒー/ココア)の基礎知識
3.紅茶と健康

次回からは「産地別のティスティング」「紅茶のいれ方とバリエーション」等、
実習が加わる。

今回のポイントを試験対策用に設問式でまとめておく。

★紅茶とは、樹の品種がカメリア・シネンシスに属する二つの変種に限り、
 それらの葉等を原料として(酸化)発酵、乾燥を経て製造されたもの。
 二つの変種とは
1._____
2._____

紅茶の量産に必要な条件を四つ挙げよ
1._____
2._____
3._____
4._____

紅茶の製造過程
摘采→___→___→___→乾燥


紅茶生産国ベスト4は?
1._____
2._____
3._____
4._____

お茶の主要成分を四つ挙げよ
1._____
2._____
3._____
4._____

上記のうち、特に抗酸化作用が強いものはどれか
またその主な4種類を挙げよ
1._____
2._____
3._____
4._____

WHOの定める健康の定義とは?
 ___並びに___に___完全に良好な状態

カップ一杯あたりに含まれるカフェインの量
 コーヒー___に対し、紅茶___である。

★以下のコーヒー豆の生産国は?
1.エメラルドマウンテン 
2.モカマタリ       
3.モカシダモ
4.キリマンジャロ

コーヒーの生産国ベスト5
1._____
2._____
3._____
4._____
5._____

コーヒーの焙煎の8段階を述べよ
1._____
2._____
3._____
4._____
5._____
6._____
7._____
8._____














コーヒー講座212011/01/20 12:57

小川珈琲主催
エスプレッソセミナー レベル2

13:30-17:00
受講料:8,000円 
受講者:7名 講師:岡田章宏氏(小川珈琲)

エスプレッソに関わる体系的な知識と、技術の習得を目的とした少人数実践形式の
プロ向けセミナー。

大枠は次の通り
 
●珈琲豆について(品種・精選方法・焙煎・ブレンド・エージングなど)
●マシン・グラインダーの特性
●抽出技術(抽出・カプチーノ実践、タンピング・ファームドミルク検証)

講義はイタリアには昔から伝わっているエスプレッソの4つの法則に
基づき、順に進められた。まずは4つの法則を記しておく。

クワトロM(エンメ)
Miscela(ミシェーラ)  バランス良く配合された良質の豆
Macchina(マッキナ)  安定したマシン。マシンの手入れ
Macinato(マキナート) 適正に抽出できる粒度(グラインダー)
Mano(マーノ)     バリスタの技術

講義も実習も密度が濃く、優れた内容であった。
講師の岡田氏は2008年のWLAC(ワールドラテアートチャンピオンシップ)3位、
JBC(ジャパンバリスタチャンピオンシップ)'08-‘09優勝という華々しい経歴を持つ。

日本一のバリスタの経験値や考え方、スキルを直に学べるので、大変勉強になった。

岡田氏の持論は何事も理論的であれということにある。
そして理想を掲げ、それを達成するために技術はどうあるべきかということを突き詰めるのである。

例えば、理想のエスプレッソのブレンドを作る時の考え方についての講義。

「シルクのような口当たりとシャンパンのような明るい酸味、
飲みやすく、そしてクリアなアフターテイストがポイントとなる」

このような理想のエスプレッソをつくりたい場合、
どのような豆を選び、いかに焙煎し、どのようにブレンドしたらいいのかを追究する。
そして検討に検討を重ねた結果、以下のスペシャルティーの豆を選んだという。

1.エルサルバドル・ロスアルペス
 蜂蜜のような濃厚な甘さが1番の特徴。香りも独特で、新鮮な果実、
 ストロベリーのような香りがある。

2.コスタリカ・エルサルサルセロ
 香りと酸味は華やかで軽く、シャンパンのような風味がある。

3.グアテマラ・アソバグリ(バードフレンドリー認証)
 濃厚な甘みを伴った酸味がある。マンゴやパインのような熱帯系の果物の風味。
 アフターテイストが長く残る。

4.ブラジル・アマレロ
 ローストナッツやカカオのような芳ばしい香りと苦味があり、クリアで明るい酸味が
 ある。個性の強い豆をまとめる。

講義では、各々をストレートでテイスティングし、特徴をとらえておき、後の実習で
それらをブレンドしたエスプレッソを抽出し、テイスティングしてみるという、
学ぶ側にとって巧みなプログラムとなっていることに気がつく。

実際、このブレンドはエルサルバドルをベースにして作られており、市販もされている

実習についても、理想のイメージを持つこと、そしてそれを完成させるために
何度も練習し、失敗を克服するのが上達の早道という理論で進める。

例えば、
カプチーノのフォームドミルクは
「つやがあり、粘度の高い、なめらかな甘さをもったもの」を自分の理想とし、
そのためにたどり着いたのが、シンプル イズ ベストだという。

ミルクピッチャーを派手に動かして泡だてているバリスタをよく見かけるが、
岡田氏はそれを全く動かさない。いかにミルクを対流させるかが命題なので、ノズルの角度や位置が重要であり、ピッチャーを動かす必要は全くないというのが経験から導き出したシンプルな答えなのである。

また、
ホルダーにセットした粉を押し固めるダンピング。

巷説では20㎏の力で押し固めるといわれるが、岡田氏はそんな数字にはこだわらず、
10㎏でも15㎏でも味に影響はなく、むしろ大事なのは粉の押し固め方のバランスだという。

エスプレッソの抽出はホルダーの外周部から湯が逃げやすいので、真中はやわらかく、
外側は固く押し固めるのが理想であり、そのためにどのように力を入れ、肘をどのように使うのが良いのかをレクチャーしてくれのである。

実際に20㎏の力がどれくらいなのか、この実習では計りの上でダンピングを行い、
感覚をつかむこともプログラムされている。

バリスタチャンプになるためには、技術だけでなく、相当の立ち居振る舞いと話術も求められるであろうが、岡田バリスタからはやはり相当のオーラが伝わってくる。

日本一のバリスタから手ほどきを受けられるこのセミナー、
上述のエスプレッソブレンド200gがお土産についており、
満足度はかなり高く、受講料はむしろ安いと思えた。

因みにこの日、使われたエスプレッソマシーンは、ダラコルテ
グラインダーはCompakMAHLKÖNIG(マールクーニック)。

最新のグラインダーはタイマー付きで、
例えば使う粉の量を20gとすると、それが5秒で挽かれるので、
タイマーを5秒にセットする。
ホルダーを押してスイッチをONにすると自動的に5秒でストップするので、
誰がやっても同じ粉の量となり、味にブレがなくなるというのである。
価格もCompakやDITTIGに比べれば少し安く、魅力の商品である。